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コラム:「逃亡犯条例」に揺れる香港、国際ハブの地位保てるか - ロイター (Reuters Japan)

[香港 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 香港政府は、諸外国政府が特権的とみなす香港の地位を、自らふいにしてしまうかもしれない。

 6月10日、香港政府は、諸外国政府が特権的とみなす香港の地位を、自らふいにしてしまうかもしれない。写真は香港でのデモの様子。9日撮影(2019年 ロイター/Tyrone Siu)

香港では9日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案に反対する大規模デモに数十万人が参加した。もし林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官がメッセージを無視すれば、米国や欧州連合(EU)、そして他国の政府は、香港との関係を見直す可能性がある。それは香港と中国両方にとっての損失だ。

香港政府によると、改正案の立法府審議は今週も続行される。同案は一般人や国際商業会議所、判事や富豪など、中国本土の司法制度に不信を抱く人々の激しい反発に遭っている。9日の抗議活動は、最終的に撤回された「国家安全条例」案に反対する2003年のデモ以来最大規模だった。

最悪のシナリオは、米政府が香港の自治が損なわれたと判断することだ。

米中経済安全保障検討委員会が5月に発表した報告書は、「逃亡犯条例」の改正案によって、1992年の米国・香港政策法が見直される可能性があると指摘している。この同法は香港を中国本土とは異なる地域として定義しており、これなしには香港は関税やビザ規制などの対象となる。とっぴな話に聞こえるかもしれないが、現在の貿易摩擦のありさまを見れば、絶対にないとは言い切れない。

中国本土の企業が厳しい監視下にある国の市場では、香港企業への対応もより冷淡になるだろう。

香港の富豪、李嘉誠氏が率いる不動産大手、長江実業(0001.HK)などは、慎重を要するセクターのビジネスに参入する際に警戒されるようになっている。また、競合するシンガポールなどの金融拠点も、管理職やバンカーらが住宅や本社の移転などを検討する際にチャンスを活かそうとするだろう。

中国の国営メディアは改正案を支持しており、香港の大規模デモは外国勢力が画策したと主張している。しかしその外国勢力がいなくなれば、損をするのは中国政府だ。「米ドルペッグ制」で金融が米国と連動し、中国政府の資本管理の外にある香港は、世界市場へのルートとして上海や深センよりも優れている。

去年本土から香港を通じて輸出入された額は4680億ドル(約50兆円)で、貿易総額は1兆ドルを超えた。海外トレーダーが香港と本土の株式相互取引(ストック・コネクト)を通じて行った取引は、5月には本土市場に1260億ドルの取引高をもたらした。

もし行政長官が香港をただの中国都市の一つにしてしまえば、中国は将来悔やむことになるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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https://jp.reuters.com/article/hongkong-extradition-march-breakingviews-idJPKCN1TC0JC

2019-06-11 06:38:00Z
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