【ワシントン=塩原永久】米国が10日に中国に対する制裁関税を強化し、米中両国による貿易摩擦の解消は遠のいた。米中は貿易協議を続ける方針だが、両国の対立がさらに激化すれば、企業が投資を手控えたり、輸入品の価格上昇で消費が減退して、世界経済の重しになる恐れがある。
トランプ米大統領は9日、米政府が中国からの全輸入品に25%の追加関税を課す準備に入ったと表明。米国はすでに計2500億ドル(約27兆円)分の中国輸入品に関税を上乗せしているが、輸入品すべてに高関税が適用されれば景気への影響も大きくなる。
国際通貨基金(IMF)の試算では、米国と中国が互いに相手国から輸入する物品すべてに25%の追加関税を課した場合、米国の実質国内総生産(GDP)を0・6%下押しし、中国のGDPが1・5%下がる。
IMFは世界全体のGDPを0・2%引き下げると予測。企業が設備投資に慎重になるといった悪影響が広がれば、さらに景気減速を招く恐れもある。
トランプ政権下で発動された追加関税は、米国の企業や消費者にも重くのしかかる。米プリンストン大学などの調査によると、商品を輸入する米事業者に毎月30億ドル(約3300億円)の負担増が発生している。米国内の輸入品価格が上昇し、好調な消費にも冷や水を浴びせかねない。
中国は米国の農畜産業を主な対象に、報復関税を課している。特に大豆は中国が最大の輸出先となっており、中国の対抗措置で狙い撃ちにされている。
米政府による10日の対中制裁強化について、米大豆協会のスティーブンス会長は声明を発表。長引く米中の貿易摩擦に不満を表明した上で、「大豆農家は(中国の報復の打撃に)耐えてきたが、我慢の限界だ」と怒りをあらわにした。
農業が盛んな米中西部には、トランプ氏が再選をかける来年の大統領選で、勝敗を左右する重要な地域が少なくない。中国との対立が長期化すれば農業関係者などの支持層が離反し、トランプ氏の再選戦略に逆風となる可能性もある。
https://www.sankei.com/economy/news/190510/ecn1905100031-n1.html
2019-05-10 11:07:00Z
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