【ロンドン服部正法】英国のメイ首相は24日、来月7日に与党保守党の党首を辞任し、その後に首相を退く意向を発表した。2016年7月の就任後、欧州連合(EU)からの離脱問題のかじ取りを担ってきたが、議会の取りまとめに難航。21日に表明した離脱を巡る新方針が離脱強硬派を中心に保守党内から猛反発を受け、退陣を迫られた形だ。英メディアによると、保守党は7月下旬ごろまでに、後継首相となる新党首を選出。メイ氏は選出までは首相の座にとどまるとみられる。新首相には離脱強硬派が就く可能性もあり、離脱問題は混迷の度合いを一層深めている。
メイ氏は24日午前(日本時間同日午後)、首相官邸前で「(離脱に向け)あらゆることを行ったが、残念ながらかなわなかった。新たな首相が(今後の)取り組みを主導するのが国益にかなう」と述べ、辞意を表明した。
メイ氏はEU離脱を選んだ16年6月の国民投票を受けて辞任したキャメロン政権を継承。18年11月にEUと離脱条件などを定めた「離脱合意案」を結んだ。しかし、メイ氏は保守党内の取りまとめに失敗し、下院は今年1月以降、この離脱合意案の主要部分にあたる「離脱協定」を3回否決した。メイ氏は先月、保守党内の離脱強硬派の説得を事実上あきらめ、労働党との妥結で離脱協定の可決を目指したが、この与野党協議も頓挫した。メイ氏が今月21日に示した最新の離脱方針は、再度の国民投票実施の可能性やEU関税同盟への一時的・部分的残留の容認を含む内容で、最大野党・労働党に譲歩した形となっていた。このため、保守党内からは批判が噴出。新方針に基づく離脱法案を下院で採決に付した場合、保守党議員50人以上が造反する可能性が出て、内閣の重鎮も辞任する状況になっていた。
「メイ降ろし」のために、党内で不信任投票の実施を目指す動きも活発化。党の規則では同じ党首への不信任投票は1年間を置くと制限されており、現行の制度では昨年12月に既に行っている不信任投票の再実施はできないが、議員たちは22日、制限を緩和する党則改正の秘密投票を実施していた。
世論調査では次期首相候補のトップに挙がっているのは離脱強硬派のジョンソン前外相。ジョンソン氏を含め離脱強硬派が首相に就任した場合、「合意なき離脱」のリスクが高まる恐れもある。
https://mainichi.jp/articles/20190524/k00/00m/030/166000c
2019-05-24 12:10:00Z
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