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米中、不調なら関税合戦 瀬戸際の閣僚級協議 - 日本経済新聞

【ワシントン=河浪武史、北京=原田逸策】米中両国は9~10日に閣僚級協議を開く。米国は10日に中国製品の関税を引き上げると通知し、中国も報復関税をかける構えだ。中国側は「国家資本主義」の根幹をなす補助金の抜本見直しを拒んでいるとされ、合意の道筋はみえない。関税上げが効力を持つまで数週間かかるとの見方もあるが、関税合戦の再燃は世界経済を不安定にしかねない。

中国の劉鶴副首相が9日にワシントン入りし、同日夕から閣僚級協議を始める。米通商代表部(USTR)は2000億ドル(約22兆円)分の中国製品の追加関税を、10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に10%から25%に上げると通知した。

対象になるのは、5月10日以降に中国で輸出手続きが取られた商品だ。2000億ドル分の対象品は家具や家電など船便で米国まで2~4週間ほどかかる消費財が多い。関税の影響を受けるまでは一定の時間があり、関税上げ後も交渉継続の余地は残る。

中国商務省の高峰報道官は9日の記者会見で、米国との貿易摩擦に関して「中国はあらゆる可能性に対応するための準備を済ましている」と述べた。米国が追加関税を上げた場合に報復措置に踏み切る考えを強調した。

米中協議を巡っては今年に入って楽観論も浮上していた。それが交渉の土壇場で両者の溝が広がった。米国側は中国が「先週末にかけて合意内容を大きく後退させた」(ムニューシン米財務長官)と主張する。

米国はハイテク産業の育成を目的とした中国の産業補助金を「極めて危険だ」(ナバロ大統領補佐官)と最も問題視してきた。「中国側が最終盤になって地方政府の補助金見直しを渋るなど、改革案を小出しにし始めた」(米経済団体幹部)

USTRは2月、中国が5000億ドルを超える資金枠を使い、半導体などの先端産業を国家を挙げて育成しているとするリポートを公表した。

こうした補助金に加え、米中交渉筋は中国側が「技術移転の強要禁止などでも法制化に難色を示し始めた」と明かす。USTRは合意事項の順守には「厳格な法制化が必要」としてきたが、拒んできたという。

習近平(シー・ジンピン)国家主席の側近の劉氏は、米国の主張に沿って協定文を策定しつつあった。5月中の最終合意に向けて中国側が協定文書を再点検したところ、「共産党指導部の政治局が合意内容の一部を強く拒否した」(米中交渉筋)との指摘がある。

関税の応酬が泥沼化するおそれもある。中国は米国が追加関税を上げれば、報復関税を発動する意向を示す。米政権は現時点で制裁を課していない残りすべての中国製品(約3250億ドル分)を対象に「関税第4弾」を検討している。

国際通貨基金(IMF)は米中が相互に全輸入品に25%の関税をかければ、米国は成長率が0.6ポイント、中国は1.5ポイント下振れすると試算する。米中摩擦の激化の懸念から9日の上海外国為替市場で人民元の対ドル相場は大幅に下げた。日銀の黒田東彦総裁も同日、米中協議が決裂すれば「各国の貿易に下押し圧力がかかる」と指摘した。関税合戦で米中経済が打撃を受ければ、世界景気は失速の瀬戸際に立たされる。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44574950Z00C19A5MM8000/

2019-05-09 12:30:00Z
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