[東京 20日 ロイター] - 若宮健嗣・元防衛副大臣(衆議院外務委員長)は、20日のプレミアムニュースセミナー(リフィニティブ主催・ロイター協賛)で講演および質疑応答に応じ、米中対立はAI(人工知能)をめぐる覇権の争いであるため長期化するとの見通しを述べた。
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)HWT.ULとの取引を原則禁じる米国の制裁措置は、日本企業にも影響を与えると明言した。米国の対日姿勢は対中ほど厳しくないが、自動車を巡っては米国が日本メーカーの米現地生産増を望む可能性があり、決着には時間を要するとの見解を示した。
<米国、中国の5G・AIでの覇権許さず>
若宮氏は大型連休中に訪米し、マクマスター前大統領補佐官やシュルツ元国務長官らと懇談。「マクマスター氏は、米国がかなり厳しく中国に向かうと明言していた」と述べ、「5G(第5世代携帯電話システム)を含めた通信ネットワークの覇権を米国は、中国ではなく絶対自分で確保したい意向が強い」と指摘。「これには米民主党の議員も反対していない」と強調した。
中国のモバイル決済シェアアプリ大手「アリペイ」など例に「中国は自国に13億人を超える人口があり、購買情報や傾向など、数多いデータで得ているのが現状。ビッグデータがあるがこそ、AI(人工知能)ができる、AIが実際どこまで進化するかが次の世代の競争の原因になってくるので、その点でも米国は負けるわけにいかない、絶対に(中国の)覇権は許さない」と述べた。
さらに「米国はドル建て決済が、他の手段に代わると困る面がある。すでにブロックチェーンなど個人口座への銀行を経由しないお金の移動が現実のものとなっており、さらに拡がるのは米国にとって望ましくない」と指摘した。
米政府がファーウェイとの取引を原則禁じる制裁措置をとったことの日本企業への影響について「機微に触れる内容のもについては米国が、口をはさむ可能性がある。プラスチックのカバーなど(汎用品)であれば気にする必要はないのではないか」と述べ、安全保障に関わるとみなされかねない部品については、影響があるとの見方を示した。
米国の対中強硬姿勢は「トランプ政権の間は続く」として現在、ファーウェイに納品している日本企業は「別の取引先を探すべき」と提言した。
<トランプ大統領「自動車米現地生産拡大を希望も」>
米国の日本に対する貿易面での姿勢について「日本と中国では、(米国から見た)貿易赤字の金額が違う」とし、「今回、トランプ大統領が訪日する際にさまざまな話題が出るだろうが、それほど厳しいものが出ることはないのではないか。対中ほど厳しいものではないのではないか」との見通しを示した。
もっとも自動車に関しては、トランプ大統領が「米国製の日本ブランドの自動車をより増やすかたちにしてくれないかと依頼がある可能性はある」と指摘。
同時にかつての日米貿易摩擦時のような経済産業省による輸出数量規制・調整は「出来ない」とも明言した。日本政府としても「民間企業に(対米投資を)要望はできない」とし、日米自動車交渉は「そう簡単には解決しない」との見通しを示した。
竹本能文 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/wakamiya-seminar-china-idJPKCN1SQ18F
2019-05-20 12:10:00Z
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