追い詰められたメイ英首相、労働党の支持求め「賭け」 - 産経ニュース

　【ロンドン＝板東和正】英国の欧州連合（ＥＵ）からの離脱の是非を問う２度目の国民投票の実施について、２１日に議会の採決を行う方針を表明したメイ首相。辞任が目前に迫る中、追い詰められたメイ氏は、野党、労働党への譲歩で同党からの支持を獲得して離脱協定案を可決させようとの賭けに出た形だ。

　「私は離脱を実現するため譲歩したいという姿勢を示した。だから、あなたにも譲歩してもらいたい」

　メイ氏はこの日、労働党のコービン党首に書簡を送り、協定案が可決されれば国民投票を再実施するかどうか議会に諮る方針を説明。協定案への支持を呼びかけた。労働党議員からはかねて、メイ氏の協定案が議会だけでなく国民にも評価されるべきだとの指摘がされており、メイ氏は国民投票を再実施する姿勢を見せることで妥協案を示したといえる。

　労働党への歩み寄りを見せた背景には、６月上旬にも首相職の辞任時期を示さなければならないメイ氏の焦りがある。メイ氏はこの日の記者会見で、６月３日の週に行われる英下院での協定案の採決を「最後のチャンスだ」と強調した。

　ただ、メイ氏の思惑は外れ、労働党からの支持は得られない見通しだ。同党が求めるＥＵの関税同盟への恒久的な残留などが協定案に盛り込まれておらず、メイ氏の方針を支持しないと表明したコービン氏は「協定案そのものに根本的な変更がない」と批判した。

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