【ブリュッセル=竹内康雄、白石透冴】欧州連合(EU)のトゥスク大統領は9日、英国のEU離脱を1年を超えない範囲で長期再延期する案を加盟国に示した。経済などに混乱をもたらす「合意なき離脱」を避けることを優先した。ただフランスのマクロン大統領などは再延期に慎重で、10日に開かれるEU臨時首脳会議で加盟国が一致した結論を出せるかは不透明だ。
メイ英首相は4月12日となっている離脱の判断の期限を6月30日まで延ばすよう要請していた。トゥスク氏は理解を示したが、「英下院の深い分裂を考えれば、6月末までに離脱協定案が承認されると我々が信じる理由は乏しい」と表明した。
トゥスク氏は長期延期なら合意なき離脱のリスクを下げ、繰り返し臨時首脳会議を開く負担を減らせるとみている。英側も議会が離脱案を批准した時点で離脱できる。
ドイツのメルケル首相も9日、離脱を2019年末か20年初めまで再延期することは可能との考えを示した。独DPA通信が与党関係者の話として伝えた。メイ英首相と同日1時間半程度会談した後、与党の会合で発言したという。メルケル氏は合意なき離脱はできる限り回避したいと繰り返し表明してきた。
一方、メイ氏は9日夕、マクロン仏大統領ともパリで会談した。欧州では5月23日から欧州議会選が行われ、英国が離脱していない場合に議会選への参加を迫られる公算が大きい。メイ氏は議会選に参加する事態を避けるために、与野党協議などで英国内の合意形成に全力を上げているとマクロン氏に説明。6月30日までの短期延期への理解を求めた。
仏大統領府高官は9日、「はっきりした道筋が示され、EUに害を与えることがなければ、再延期は可能だ」などと語った。トゥスク氏が示した最大1年延期との案は「長すぎる」と意見した。
同高官はもし再延期が決まった場合でも「英国は欧州委員長の選出や予算案の策定には関わるべきではない」と中長期の決定事項から英国を除くべきだと語った。
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43555350Q9A410C1000000/
2019-04-09 18:27:00Z
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