【キエフ=小川知世】ロシアとの紛争が続くウクライナで21日、大統領選挙の決選投票が実施された。現地調査機関の出口調査の結果によると、新人のタレント候補ボロディミル・ゼレンスキー氏（41）が約7割を得票し、勝利が確実な情勢となった。ペトロ・ポロシェンコ現大統領（53）に大差を付けた。既存の政治に失望した有権者に支持を広げた。ロシアとの協議にも前向きで、悪化していた両国の関係に影響を与えそうだ。
21日、キエフの選対本部で出口調査結果を聞き、勝利を確信して手を振るゼレンスキー氏=ロイター
投票終了直後に発表された出口調査によると、ゼレンスキー氏の得票率は73.2%で、ポロシェンコ大統領の25.3%に倍以上の差を付け、勝利を確実にした。ウクライナ中央選管が即日開票を進めており、日本時間22日未明から順次、正式な開票結果を発表する見通しだ。
コメディアンのゼレンスキー氏は、教師が大統領になるドラマ「国民のしもべ」で主演。汚職の撲滅や国民主体の政権運営を掲げ、現政権への批判票を集めた。外交政策では、親欧米路線を堅持する一方で、紛争打開へロシアと協議する意向を示しており、対ロ関係改善の糸口を探る。
2014年2月の市民デモによる政変を受けて就任したポロシェンコ現大統領は、軍の強化など対ロ強硬姿勢を前面に押し出し、親欧米と改革路線の継続を訴えた。だが、公共料金の引き上げなどで国民の生活を悪化させ、汚職政治家の処分も進まず、支持離れを招いた。
大統領の任期は5年。14年にロシアが併合を宣言した南部クリミア半島や東部の親ロ武装勢力が実効支配する地域では投票が行われなかった。東部ではロシアが支援する親ロ派との紛争が続き、これまでに1万3000人が死亡した。
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44021910S9A420C1000000/
2019-04-21 17:13:00Z
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