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英EUの合意なき離脱で失うものが見えてきた 製造業と農業、接客業への影響が大きい - 日経ビジネス電子版

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 2019年3月、高速鉄道のユーロスターで英ロンドンから仏パリへの出張があった。ユーロスターはロンドン、パリ間を約2時間30分で結んでいるため、午後からのアポイントであれば、日帰り出張も可能である(実際は1時間の時差があり、英国はシェンゲン協定に入っていないため通関に要する時間などがあるので簡単ではないが)。

 ただユーロスターが発着するパリ北駅では、3月の初めからフランス税関職員による抗議行動で、毎日まともに運行できていない。急な運行キャンセルや駅での通関の長い行列で乗車までに5時間待ちの便もあった。飛行機に振り替える客などの混乱も重なり、結局1日がかりでの移動となった。

 これは合意なき離脱に伴う混乱に備え、増員や待遇改善を求める職員が、離脱後に今まで以上に慎重な税関検査が必要となることを見据え、「慎重な検査を実施すると、これほど大変なことになる」ということを証明するための抗議だという。

英議会はメイ英首相の離脱協定案を3度否決し、合意なき離脱の可能性が高まっている (写真:ロイター/アフロ)

合意なき離脱の準備が進む

 離脱合意の議会承認を巡り、英下院で3月29日に離脱協定案の受け入れ是非を問う3回目の採決が実施されたものの、58票差の大差(賛成286票vs反対344票)でまたしても否決された。

 このため英国は、4月12日午後11時が離脱日となり、その時までに今後の方針についてEU理事会に通知することが求められている。総選挙実施との見方も多く、そうなるとメイ首相はEU側に長期延期を申請する可能性がある。

 ただし長期延期となると5月に実施される欧州議会選挙に参加しなくてはならない。これにはフランスのマクロン大統領が強硬に反対しているため、EU側が長期延期を拒否することで事実上の時間切れとなり、アクシデント的に合意なき離脱に陥る可能性もある。

 英国では合意なき離脱の可能性が高まりつつあることから、そのための対応が活発になっている。ここ数週間で英国・EUは6~12カ月続く緊急対策措置を発表し、合意なき離脱の際も、英国EU間の航空や長距離輸送などを確保しているものの、万全の準備とは言い難い。

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2019-04-05 09:00:01Z
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