NZ銃乱射死者49人豪国籍の容疑者、出廷へ（写真＝AP） - 日本経済新聞

【シドニー=松本史】ニュージーランド（NZ）のクライストチャーチのモスク（イスラム教礼拝所）で15日に発生、49人が死亡した銃乱射事件に関し、殺人罪で訴追されたオーストラリア国籍の男が16日、裁判所に出廷した。今後、動機の解明が焦点となる。中東やアジアのイスラム諸国の首脳らは、テロをイスラム嫌悪だと強く非難している。

銃乱射事件を受け記者会見したニュージーランドのアーダーン首相=AP

豪国籍の男が投稿したとみられる映像には銃撃前の様子も=AP

豪国籍の男が出廷した裁判所（16日、クライストチャーチ）=AP

16日にニュージーランドの首都ウェリントンで記者会見するアーダーン首相=ロイター

NZのアーダーン首相は16日記者会見し、殺人罪で訴追された男が豪国籍だと発表した。15日に拘束した男女4人のうち、1人が事件とは無関係だったことも明らかにした。

現地メディアによると豪国籍の男（28）は警察官に2人に付き添われて出廷。報道陣に向けて得意げな笑みをみせたという。インターネットに銃撃場面を投稿したのもこの男とみられ、豪紙オーストラリアンなど複数のメディアは、男がインターネットで発表した「マニフェスト」について報道した。

「2年前から攻撃を計画し、3カ月前にクライストチャーチに決めた」「侵入者らに、我々の国が決して彼らのものにならないと示すために攻撃を実行する」。男のものとみられる文書には反移民主義、白人至上主義をうかがわせる文言がつづられている。「欧州で起きたテロで犠牲になった数千人の欧州人のかたきをとる」などの表記も見られた。

治安が良く留学や旅行先として日本でも人気のNZで起きた無差別テロは世界に衝撃を与えた。

「我々の多様性や思いやりといった価値観は今回の事件では決して揺らがない」。15日の事件後に会見したアーダーン氏は声を震わせてこう述べ、犯人グループを強く非難した。

イスラム教徒が多い中東諸国からは「反イスラム主義」だと非難の声が上がった。トルコのエルドアン大統領は15日、「テロ攻撃を強く非難する」とツイッターに書き込んだ。これとは別に「高まるイスラム嫌悪が目撃された」とも述べた。

ロイター通信によるとパキスタンのカーン首相は「9.11（の米同時テロ）以降、すべてのイスラム教徒がテロの責任を負わされている」とSNSに投稿した。

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