【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領は15日、メキシコ国境に壁を建設するために出した非常事態宣言を阻止する議会決議に対し、拒否権を発動した。拒否権の行使は大統領に就任後初めて。非常事態宣言の効力は続くが、与党・共和党の一部議員も賛成した決議を退けたことで、2020年の次期大統領選に向けた党内の結束に影響を及ぼす可能性がある。
トランプ氏はホワイトハウスで「議会は危険な決議を通した。間違いなく非常事態だ」と述べ、決議を正式に拒否する文書に署名した。大統領の拒否権は上下院それぞれ3分の2以上の票があれば覆せるが、現時点ではハードルが高い。
決議は野党・民主党が過半数を占める下院が2月に可決したのに加え、共和党が主導権を握る上院も14日に賛成多数で通した。上院では共和党議員53人のうち12人が賛成に回った。大統領権限で予算の使い道を変える非常事態宣言を認めれば、議会の予算編成権を自ら否定することになるとの懸念が一部に広がった。
18年までは共和党が上下院で多数派を占めており、議会がトランプ氏の意思に背く法案や決議を通すことはなかった。19年1月に始まった新議会では上下院で多数派が異なる「ねじれ」が生じており、政権と議会の対立が深まっている。
過去の米大統領は就任から時間がたつにつれて議会との対立が深まり、拒否権を使う事例が増える傾向がある。オバマ前大統領とブッシュ(子)元大統領は2期8年の任期中にいずれも12件の拒否権を発動した。
カリフォルニア州など16州も非常事態宣言の差し止めを求めて提訴しており、議会とは別に、司法がトランプ氏の宣言の無効を判断する可能性もある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42557910W9A310C1000000/
2019-03-15 21:13:00Z
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