【ニューヨーク=有光裕、ヨハネスブルク=木村達矢】10日にアフリカ東部エチオピアで墜落した米航空機大手ボーイングの「737MAX」と同型機の運航を停止する動きが世界で広がっている。2018年10月にインドネシアで起きた同型機の墜落事故の原因も分かっておらず、運航停止が長引く恐れがある。
制御困難に
今回、事故を起こした旅客機を運航するエチオピア航空のテオルデ・ゲブレマリアム最高経営責任者(CEO)は12日、米CNNテレビで「パイロットから『機体の制御が難しいので着陸したい』との要請があった」と話した。着陸が認められて間もなく、機体がレーダーから消えたことも明らかにした。
エチオピア航空は18年10月のインドネシアでの墜落事故を受けて、737MAXのパイロットに追加の乗務訓練を実施していたという。今後は回収した操縦室内の音声や航空機の運航データなどを記録したレコーダーの解析が焦点になる見通しだ。
広がる不安
約半年間に2回の墜落事故が起きるという異例の事態を受け、多くの国や地域に影響が広がっている。
欧州では、英国やドイツ、フランスなどが各国の判断で737MAXの運航停止を決定した。その後、欧州連合(EU)加盟国を中心に32か国の航空安全業務を担う欧州航空安全局(EASA)が12日、声明で「乗客の安全確保のために予防措置を取る」と表明し、欧州全域で同型機の運航が当面停止されることが決まった。
このほか、13日までに、中国やインド、インドネシア、オーストラリア、ベトナムなどが同型機の運航の停止を決めた。アラブ各国の地元紙などによると、クウェートやエジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、モロッコなどが同型機の自国空域飛行や乗り入れを禁じている。
米航空アナリストのヘンリー・ハーテベルト氏は「二つの事故の原因や関連性について、誰も分からないことが混乱を生み、それが消費者の不安心理につながり、行政当局に早めの対応を取らせる圧力として作用している」と分析する。
運航現場でも不安が高まっており、AP通信によると、同型機を運航しているエア・カナダの客室乗務員の労働組合は、同機での勤務を拒否できる権利を認めるよう会社側に要求した。
ロイター通信によると、同型機を18機保有している格安航空会社(LCC)大手のノルウェー・エアシャトルはボーイングに補償を求める方針という。
一方、日本の国土交通省によると、日本の航空会社は同型機を運航していないが、中国やシンガポールなどの航空会社が一部路線で、同型機の乗り入れを行っていた。ただ、事故を受け、別の機種で運航しているため、現時点での日本への乗り入れはないという。
経営に影響も
一方、ボーイングは12日の声明で、737MAXについて「安全性に絶対の自信を持っている」と強調した。デニス・マレンバーグCEOは12日、トランプ米大統領と電話会談し、こうした考えを伝えた。米連邦航空局(FAA)も「システム上の問題は見つかっておらず、運航停止の根拠がない」とコメントした。
しかし、事故原因が分からない状況が長引くと、購入を予定していた航空会社が契約の見直しを検討する恐れが出てくる。ボーイングは100社以上から約4700機の737MAXを受注しており、全体の受注機数の約8割を占めるだけに、今後の調査次第で経営面の打撃が避けられない。
737MAX ボーイングが1960年代に生産を始めた小型機737型機の最新モデル。軽量化した機体と燃費効率の良さが特徴で、中・短距離の路線が多い格安航空会社などの需要が大きい。座席数の違いから「7」「8」「9」「10」に分かれ、「8」の座席数は162~210席。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20190314-OYT1T50145/
2019-03-13 20:00:00Z
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